とある場所に女性が二人、壁によりかかっている。何もせず時間、やがて一人の女性がこうこぼす。「人間はみんなひとりぼっち・・・」
「エリさん、またですかぁ?」
「・・・私、また言ってた?」
「さっきからそればっかり言ってますぅ」
「まぁ、特に何する訳でもなし、口癖の一つも出るわよ」
その二人の寄りかかっている壁を隔てて反対側に男性二人、雑談していた所、どうやらこの『口癖』が聞こえたらしい、男二人はこう思う。
――――「人間はみんなひとりぼっち」なんてぇかっこぉいい言葉なんだ――――
「おいマルコ、お前も何かかっこいい言葉吐いてやれ。負けんなーー」
「ひ、暇があったらソースを読め?・・・」
「ブォッ!何だそりゃ!」
「だ、だって口癖だろうがよ。ならターマも何か言ってみろよ!」
「『次の手考えるか』決まったろ」
「・・・勝手に考えてろよ」
「何ぃっ不満だってのか!少なくともお前のよりはましだろ!」
「あってめー口癖を比べるっつーのか!」
「なぁーーーにやってんのよ」
マルコとターマの会話(というより口ゲンカに近い状況になりつつある)が聞こえたエリが壁の上からひょっこり姿を現した。熱論を交わしている彼らに割り込む。
「さっきから騒がしく何話してんの?ターマ」
「お前なぁ、かっこいいからって調子のってんじゃねーぞ!」
「(ムカっ)何よ?それ」
「『ひとりぼっち』だなんて、反則的だぜ」
「だから何がって言ってんでしょーーー。やる気!」
「何だと!やってやろーじゃねーか。行くぜマルコ!」
「おうっ!負けねーぞ」
「フィオっ!あんたも参戦よっ!」
「な、何がですかぁ・・・?」
フィオのみ状況がよく飲み込めてないまま、真剣勝負(?)が始まった。
第一回戦 余裕の見せつけ勝負
ルール:それぞれレバーニュートラルポーズを一つ選び出し、そのポーズをとっていた時間が長かったグループが勝者。ようするに戦争の真っ只中、より長く自分の時間を維持できるような余裕のもった奴が勝ちという訳だ。
「こんなの、やる前から勝敗分かってるじゃない。ターマ、あんた達 恥かく前に降参したら?」
「てめぇどういう了見で言ってやがる」
「一目瞭然じゃない。こっちにはフィオがいるのよ。あの娘のいきなりピクニックしだすような余裕に勝てるとでも思って?私だって戦争中フーセンガム食らうぐらいの余裕はあるのよ」
「ぬぬぬ、こっちだって俺なんかタバコを取り出してみたはいいが それは空でしたーというオチつきだ。マルコ、お前もとっときのを見せつけてやれ!」
「俺・・・降参したいな・・・」
「え?」
マルコにはこれといってパッとしたものは無かった。
「マルコ・・・」
よって第一回戦 女性チームの勝ち
しかしフィオはまだ状況を飲み込めていない
二本目 リアクション勝負
ルール:その名の通り、リアクション大きい方が勝ち
「俺達の時代だぁーーーー!」
「いきなり何よ」
「今度はエリ、お前等が降参するべきじゃねぇかなー?」
「やる前から分かんないでしょう」
「OK!格の違いってもんを見せてやる。マルコ、崖だ!」「ああ」
「崖ぇ?」
「いいか、エリ達は崖から落ちそうになっても、それ程顔には出さないだろう、だが俺達はこうだっ!」
と言いながらターマはマルコを突き飛ばした。
「NO〜〜〜〜〜〜〜落ちるおチるオチルおちるオちる〜〜〜〜〜」
そこにはつま先のみで体全体を支え、さらにその顔のせっぱつまった表情、鼻からは自分の身長をも越える程の鼻水をかもしだす素晴らしき男の姿があった!
「これこそリアクションの結晶、男の象徴!マルコ・・・立派だぜ・・・」
「た・・・助けろ・・・」
「ときにどうだ?エリ。これでもまだ勝負したいってーのかんん?」
「くっ・・・降参よ」
この勝負、男性チームの勝ち
「は〜〜マジで死ぬかと思った。」
ものすごい形相をしたマルコを見てフィオはこう思った
「崖っぷちはいろんな意味でせっぱつまった所だなぁ」
どうやらまだ状況を飲み込んでないモヨウです。
ラスト勝負 腕っぷし
ルール:腕っぷし勝負!
「これは・・・比べようがないんじゃないかしら」
「・・・そうだよな」
「何だかんだ言ってもPF隊とスパローズ隊共同するようになってからもしっかり任務はこなしてきてる」
「中には俺とマルコだけでやったのもあれば」
「私とフィオだけでやってきたのもある」
「これは一概にどっちが勝ってるとかは言えねぇな」
「じゃあ、やっぱり・・・」
「そうだな、引き分けだ」
この勝負引き分け
結局この勝負、1勝1敗1引き分けという結果で幕を閉じようとした時、事は起こった。
「いいんだよ俺なんて、いいよもういいよ」
「マ、マルコ・・・一体どうしたんだよ」
そこには異様に落ち込んでいるマルコの姿、引き分けがいけないのか?
「いいんだよ俺なんて、余裕なんて持ってねぇよ、腕っぷしだって良くなんかねぇよ」
「おい、誰もそんな事言ってねー・・・」
「所詮、『暇があったらソースを読め』なんだよ俺は」
「そ、そんな事まで・・・」
「俺が輝けるのは結局崖っぷちだけなのさー」
どうやら第一回戦で自分だけ全く活躍できなかったのが尾を引いたらしい。その後の事はほとんどマイナス思考で落ち込んでしまっている。
「参ったな。落ち込みきってる」
「まったく、どうしてこんな勝負する事んなったのかしら」
「それはエリが・・・」
「何?私のせいだって言うの?」
「だってお前がかっこいいから」
「だーーからそのかっこいいって何がって言ったでしょーーーやる気!?」
「おいてめぇ、誰に向かって口きいてやがる」
何だか非常に場の空気が重くなってきてる頃、
「あーーーーっ分かりましたぁっ!」フィオが叫んだ。どうやらやっとこ状況を飲み込んだらしい。一体今まで何を見てきたというのか。
「勝負するんですね。面白そうですね。負けませんよぉ」
「いやフィオ・・・勝負はもうすんだのよ」
「えぇ〜何でですかぁ」
「何でって聞かれても・・・」
その場の重かった空気が一気になえた。っていうかこれほどのボケをかまされてまだケンカしようって方が恥ずかしいって言うか、それよりもまだマルコが落ち込んでますぜ。
「あれっ?マルコさん何でこんなにショボけてるんですかぁ?」
「(ショボけてる?)何か自分なんかちっぽけだとか思い込んじまってんだ」
「全然ちっぽけなんかじゃありませんよぉ。崖っぷちではすごいガッツを感じましたよぉ」
「あぅ・・・それは傷口に触れちまう・・・」
と、マルコがフィオのその言葉に反応した。
「おいフィオ。それは本当か?俺から本当にそんなガッツを感じたと言うのか?」
「真です」
「そうか、ガッツか。よーーし俺はやってやるぜ!」
何故かめでたくマルコも復活し、一件落着とあいなった。
その後男性二人と分かれた女性二人
「何か今日はいきなり勝負する事になったりして変な日だったわ」
「でも楽しかったですぅ」
「まぁどっちみち何もする事なかったからね、暇はしなかったわね。あ!」
「何ですかぁ?」
「結局彼らが言ってた、私がかっこいいってのは何だったんだろう」
「バンダナですよ。きっと」
「・・・それは違うだろ・・・絶対」
この日を境にマルコ、ターマはエリの事を一目置くようになり、それからマルコを除く3人の間で「崖っぷち」がちょっとした禁句とあいなったみたいです。
終わり
<あとがき>
最初に断っておく事として、当たり前なんですけど、これは実際の作品とは全く関係なく、ただただ僕の中で生まれた物語である事を誓って止まないです。メタスラの設定で違ってきてる所は山ほどあると思いますけど、そこは勘弁くださいすいません。ない知恵ふりしぼって書いたんですが・・・やはり元の文力がそれなので何だか意味不明的な出来あがりになってしまっています・・・
個人的な意見としてはマルコさんのキャラが崩れ気味(何だか根暗っぽい)になってしまいました。最初は結構いい感じでは行けてたーとは思っているのですが(あくまで僕の中で)。
最後にここまで読んでくださった方へ、本当にありがとうございました。
(2003年9月16日、あとがき若干修正)
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