マルコ少尉とおじいちゃん

「やった、やったぞ」

「戦争が終わるんだ」

「平和がやってくるぞ」
 
 


モーデンが倒れた


 





この事はすぐに世界中に広まった。
かのモーデンを倒したのは何とたった2人の男の手によるものだという事も。
 
 

現場にいたターマは喜んでいる。

「やったぜマルコ!今夜は盛大に飲むぞ!」

「ああ・・・そうだな」

「なんだよ元気ないなー。疲れたか?帰ろうぜ」

「俺はもうちょっとここにいる。先に帰ってな」
 
 

無様に散ったモーデンの前で1人たたずむマルコ。

そのマルコの背後から、

「おや?なにやら元気がない様子ですな」と1人の捕虜がやってきた。

「あんたは?」とマルコは尋ねた。

「名乗るほどの者ではございませんよ。しがない老いぼれです」

「そんな事はないさ、任務を達成できたのはあんた達の命がけの物資運搬のたまものさ」

「わしらはただあなた達がやってくるのを待ってただけですじゃ。あなただったからこそ、ここまで来れたのです」

「そうかな・・・ありがとう」

「???。その割には全然喜んでる気配ではないですが」

「そうか・・・いや、なんか釈然としなくてな」

「ふむ、もしよければ、わしに話してくれますか」


一方、場は変わってここはスパローズ隊基地

隊員達がモーデンが倒れたことについて雑談中

「ねぇねぇ聞いた?あのモーデンを倒したのはたった2人だけなんですってよ」

「でもその2人ってのは男どもでしょ」

「私だったらもっとスムーズに事を成し遂げたわね」

「そうそう。P・F隊だか何だか知らないけど、かっこうつけてるだけじゃないの」
 
 


「あーあ、弱い奴らは口だけは達者ね」


 



と口を挟むものがいた。エリという女性であった。

スパローズ隊員達がつっかかってくる。

「あなた、生意気ね。エリとか言ったっけ?あんたこそ口だけなんじゃないの?」

「そうそう、”メンフィスの爆弾娘”だなんて言われてるようだけど、かっこだけだわ」

「ちょっと功績があるってだけで、粋がってんじゃないわ」

そう言うスパローズ隊員にも関わらずエリは

「そうやって群れてる所が”弱い”ってんのよ」
と、挑発する。

「この小娘!言わせておけば!」

「あんたみたいなやつ、相当かっこ悪いわ」

「誰が本当に弱いのか、あんたみたいな小娘にはしっかり叩き込まないとならないようね」

「面白い!やってやろうじゃない」
 
 


「皆さん!やめて下さい!」


 



と、フィオという女性が乱闘を止めようとしたのだが、

「偉そうに何言ってんだか。あんたが一番ムカつくのよ」

「親の権力だけで伸し上がりやがって。何もできないくせに。かっこ悪すぎ」

「あんたには世の厳しさってもんを教えなきゃならないわね」

「そんな・・・ひどいです・・・」
 
 
 

「あんた達、そんな見るからに弱そうな娘に乗り移って、私とやるのが怖くなったようね。ま、弱いんだから当然だろうけどね」
エリはまだまだ挑発する。と同時にフィオに、

「フィオ、とか言ったっけ。あんたはどっか言ってな。あんたがどうこうできる程、ここは甘い所じゃないからね」

「エリさん・・・はい、分かりました・・・」

「はぐれ者ははぐれ者どうし、そうやって慰めあってな!」という隊員達の挑発に対し、

「来いよ。弱者」とエリ。


そんなことがあった時、マルコは捕虜の老人に話していた。

「俺は、モーデンを憎んでいたんだ。師だって殺されたし、こいつは多くの命を奪いすぎた。だからこいつだけは何があっても殺さねばならないと思っていたんだ」

「ならば、その目標は達成されたんではないのですかの」

「だが、何だかすっきりしない。それよりも後味が悪い気分だ」

「ふむ・・・しかし、その理由は自分で分かっているのでしょう」

老人は鋭い目でマルコに聞く。

「鋭いな。そうさ、俺だってモーデンを倒すために沢山の人を殺した。町もめちゃくちゃにした」

「それは戦争では仕方のないことです。あなたが気にする事はない」

「それに、これで平和がやってくるとも限らないしな」

「戦争が終わるだけでも、大きな価値はありますぞ」

「モーデンを倒したことで、新たな争いが起きる事だって考えられるぞ。特に殴り合いのケンカとかはな」

ある程度マルコの話を聞いて、老人は言った。

「マルコ少尉、あなたは立派ですぞ。そこまで考えられるのだから」

「何でだい?」

「そこまで考えられるのなら、その分反省ができる。後に活かすことができるんですぞ!」

「反省・・・そうか、戦いはまだ終わってないんだな。これからこの後味の悪さを解消していけばいいんだ」

「ほっほっほ。今までその事に気づかなかったとは、まだまだ青二才でしたな。おっと、失言でしたか」

「ははは。いやいや構わないさ。俺は確かに青二才だ。思い知ったよ」

「あなたはわしと違ってまだまだ成長できる。頑張るのです」

「ありがとう。あんたに話して良かった。さぁもう行こう。ターマも待ってることだしな」

「そうです。今夜は限りなく盛大に戦争が終わる事を祝えばよいのです」

こうして、今日の事を祝った大宴会は盛大に盛り上がり、そして戦争が終わった。
 
 


2年後

モーデンは生きていた


 



わずか2年という短期間で再びクーデターを起こし始めたモーデン軍。

そのモーデン軍の討伐に前大戦で活躍した正規軍ペルグリン・ファルコンズ(通称PF隊)があてられた。

しかし、今回はスパローズ隊も作戦に加わるという。

マルコ、ターマのもとに2人のスパローズ隊がやって来る。

「エリ・カサモト軍曹だ。エリでいいよ。こっちはフィオ。実戦に関してはド素人らしいけど、優しい奴だよ」

「フィオ・ジェルミ一等軍曹です。前大戦で大活躍のお二人に出会えて光栄です。エリさんは強いですよ。スパローズの皆を1人だけでやっつけちゃった事もあるんですから」

「おいおいマルコー。こんな嬢さん達とドンパチやらかそうってのかー?」

「(モーデンは生きていたのか。また戦争が始まるが、もう迷わないぜ)」

「聞いてんのか?おい、マルコってば」

「ん?ああ、ボーっとしてる間はないな。行くぞ!みんな」
 
 


「おっと、わしを置いていってもらっては困るのう」


 



と老人が4人の前に姿をあらわす、マルコはしっかり覚えている、2年前の捕虜の老人だ。

「あ!あんたは」

「ほっほ。まだちょっとばかし心配じゃからな。この一文字 百太郎。今度はお主達について行こう!」

「はは、あんたがいれば百人力だよ」
 
 

<おわり>


<あとがき>タスラグより

初めてシリアスものと言うか、ギャグではない真面目なものを書きました。とっても恥ずかしい。

本当は作る前から自分の中に封印しようかとも思っていたのですが、てつゆきさんの激励により、ここまで形にする事ができました。ありがとうございます。
並びにマルコの階級を教えて下さった水さんもありがとうございます。

メタルスラッグ1が終わった後と、メタルスラッグ2の始まりの部分を自分の勝手な妄想を入れて再現してみました。だからそこらじゅうにガタがきてますが、皆さん目をつぶって下さい。

テーマは「仇を討てばいいってもんじゃない」です。仇を討っても、またそれの仇、また仇・・・といつまで経っても問題は解決しないよというお話をどこかで聞いたものでして。

しかし、真面目な小説というのは難しいものです。余計な説明を入れても話がぐだぐだになるだけだし、かといって削りすぎて分かりにくいものになると最後まで続かなくなるし。今回のこの小説はかぎ括弧(会話部分)が多すぎますね。(かなり)読みづらいかもしれません・・・難しいです。

最後に何回もこれでいいのかと読み返した自分の作品に感想を一つ。
「なにコレ!つまらない!!」
 




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